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深部静脈血栓症|リハビリテーション通信

深部静脈血栓症とは

静脈は体の深い部分にある深部静脈、皮下にある表在静脈、それらを連絡する穿通枝からなり、身体を巡って心臓へ還流しています。深部静脈に血栓(血の塊)ができることを深部静脈血栓症といいます。下肢の深部静脈に発生することが多いと言われており、今回は下肢の深部静脈血栓症についてお伝えします。

 

いつ起こるのか

ベッド上や車の中、または飛行機の中などで長時間安静にしていると、血流の流れが悪くなります。特に足の血流の循環にはふくらはぎの筋肉の動きが大きく関わっており、ふくらはぎの筋肉は第二の心臓と呼ばれています。長時間の安静により足の血流が循環しにくい状態となり、血栓ができて静脈につまり、深部静脈血栓症となります。飛行機の中で発症することを別名としてエコノミー症候群といいます。

 

症状

典型的な症状として下肢に血栓ができると、その先の腫れ、痛み、暗赤色への色調変化が症状としてみられることがあります。片側の下肢だけにみられることが多いです。

 

合併症

何らかの拍子に血栓がはがれて血流に乗って肺に到達し、肺の血管が詰まることを肺血栓塞栓症といいます。この合併症は突然の呼吸困難、胸の痛み、失神、ときには心停止をきたす危険な病気です。

 

どんな人がかかりやすいの?若いから大丈夫?

血栓ができるには静脈の障害、血液が固まりやすくなっている、血流が流れにくくなっていることが原因とされています。症深部静脈血栓症のピークは80歳代が最も多いと報告されています。しかし現役のサッカー選手が発症したというニュースも過去にあり、誰もが罹患する(病気にかかる)可能性があるおそろしい病気であると知っておく必要があると思います。

 

診断

深部静脈血栓症は早期に医師による診断と治療により病態と予後の改善が見込めるため、なるべくすみやかな診断が必要となります。しかし、多くの場合は肺に血栓が詰まり肺血栓塞栓症を発症まで症状がみられず、発見することが難しいとされています。

したがって、血栓ができるのを予防するということがとても重要になります。

 

予防方法

1.歩くこと

積極的な歩行が血栓予防の基本となります。

2.足首の運動

足首を背屈・底屈(上下運動)することでふくらはぎの筋肉がポンプとして機能し、静脈の血流を良くしてくれます。

3.仰向けで足を高く上げる

 

足を心臓より高く上げることで静脈の流れを良くすることができます。

仰向けに寝ることが難しい場合は、座ったまま足を伸ばす運動も良いです。足を伸ばした状態で足首の背屈・底屈運動をすることも効果的です。

4.ふくらはぎのマッサージ

ふくらはぎの筋肉をマッサージすることで静脈の血流を良くすることができます。

 

5.弾性ストッキングの使用

医療用弾性ストッキングは足を圧迫して静脈の流れを良くし、血栓予防に効果的と言われています。しかし、強い圧迫に皮膚の障害を起こす危険性があり、使用することが望ましいのかは医療機関への相談が必要です。

 

■してはいけないこと

血栓ができた状態で積極的な運動をしたり血流を促進させる行為は血栓を運んでしまう危険性があります。何か違和感があれば医療機関への相談が必要です。

 

最後に

今後、予期せぬ災害により避難生活や車中泊を余儀なくされることがあるかもしれません。そのような状態では運動不足や水分の制限により深部静脈血栓症を発症しやすい状態となります。最悪の事態を防止できるように、深部静脈血栓症について考えておくことは重要だと思います。

 

今回の執筆者:理学療法士 川井涼平(かわい りょうへい)

小松島市で生まれ育ちました。趣味は釣りです。理学療法士となり、10年目を迎えました。現在は和田島町にある介護老人保健施設 明和苑でのリハビリテーションを担当させていただいております。こうして慣れ親しんだ地域で働くことができ、とても嬉しく思います。皆様の為に少しでも多く貢献できるように努力していきます。

 

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