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リハビリテーション通信

家の中での転倒原因を考えてみましょう|リハビリテーション通信

はじめに

「姿勢が悪くなってきた、段差がないとことでも躓く」
「病気やケガで、身体がうごかしにくい」
「眠気やふらつきを伴う薬を飲んでいる」
「ずっと座ってばかり」

これらは、訪問リハビリテーション時によくお聞きします。

加齢に伴い身体機能が徐々に低下し、筋力・バランス能力・瞬発力・持久力・柔軟性などが衰えてきます。
転倒・転落は骨折や頭部外傷等の大けがにつながりやすく、それが原因で介護が必要な状態になることがあります。

★今回、家の中の転倒原因となるものを考えてみますので、参考にしてみてください。★

厚生労働省が発表した人口動態調査によると、65歳以上の不慮の事故による死因のうち、
【転倒・転落・墜落】が原因となった死者は交通事故死亡者の約4倍にもなるのです。

80歳以上の死亡事故が多いこと、
スリップ・躓き・よろめきによる平面上(段差ではない)での転倒事故が非常に多いこと
がわかります。

外出時の慣れない環境での転倒が起きやすいと考えがちですが、実際は多くが自宅内で発生しているのです。

転倒を防ぐためには、

① 高齢者本人が転倒しないよう注意する
② 筋力訓練やバランス訓練などで、身体機能を維持していく
③ 生活場所の環境を整える

などの必要があります。

★どんな転倒が多いか、どんな予防方法があるか【知って】【対策】していきましょう★

場所 事故原因 対策
居間・リビング ・敷物の縁やコード類に足先がひっかかる

・床の上のものにつまずく・床材が滑りやすい、畳の目の方向に滑る

・床の上のものを片づける

・引っかかりやすい敷物やこたつ布団は使用しない

・めくれやすい敷物に滑り止めマットを使用する

・足がすべらないように滑り止めのついた靴下や上履きを使用する

玄関 ・段差部分の色が同じでわかりづらく足を踏み外す

・靴の上に足を置き滑る

・靴着脱時にバランスを崩す

・無理な体勢で段の上から開錠してバランスを崩す

・段差昇降時にふらつく

・玄関マットが滑る

・段差の境目にビニールテープで色をつける

・靴を片づける

・施錠等の際は、玄関ドアに近づいて行う

・踏み台や手すりを設置して段差昇降を行いやすくする

・靴箱など把持できる部分に物をおかない

・玄関マットの下に滑り止めを敷く

階段 ・足元が暗く足を踏み外す

・物を持ったまま昇降して足元が見えない

・手すりをつかみ損ねる

・常夜灯やセンサー式の足元灯を利用するなどして照明を明るくする

・手すりを設置する(形状や滑り止めを検討)

・物を持つ必要がある場合はかごなどを利用して、片手を空けておく

寝室 ・ベッドから落ちている掛け布団に躓く

・フローリングや畳の上のマットごと滑る

・起き上がる際に滑ってベッドから転落

・布団を床に置いたままにしない
・マットを敷く際には滑り止めを併用する
・ベッドの高さの検討(万が一転落した時を考え低床ベッドを導入する)
廊下 ・廊下においてある物に引っかかる

・ドアの開閉時にバランスを崩す

・花瓶の水がこぼれていて滑る

・部屋前の段差数センチにつまづく

・動線上のものを片づける

・ドアの開閉に対する重心移動の練習をする

・廊下を濡れたままにしない

・小さな段差にも段差解消バーを利用する(ホームセンターでの購入や介護保険福祉用具レンタル利用が出来る)

台所 ・キッチンマットにつまづく、滑る
・高い戸棚への物の出し入れを行おうとししてバランスを崩す
・棚の下方のものを取り出そうとして滑る
・キッチンマットを使用しない方法の検討

・高い位置、低すぎる位置に物を置かない

浴室 ・床上、浴槽内等濡れているところで滑る
・入口段差につまづく
・温度差の影響が身体に出てふらつく
・手すりを設置する
・濡れたままにしない
・シャワーチェアーや浴槽内滑り止めを使用する
・入口段差の高さをスノコやスロープで調整する
・浴室を事前に温めておく

 

★当院リハビリテーション部の取り組み★

当院でのリハビリテーションは、入院中から自宅環境を想定した動作練習を行っています。

また、理学療法士や作業療法士が実際にご自宅に伺い、自宅でリハビリテーションを提供することができます(訪問リハビリテーション)。

・自主運動の指導
・手すりや家具を使用した移動などの日常生活動作、洗濯物干しや調理などの家事活動
・乗車方法の検討や練習
・能力に応じて福祉用具の選定
・褥瘡を悪化させないための姿勢指導
・介護者に対しての介護方法指導

などを現在行っています。

担当ケアマネジャーや主治医、または南部訪問看護ステーション 作業療法士 大島(0885-38-0018)までお問い合わせ下さい。

 

おわりに

家の中での転倒原因となるものを可能な限り解消し、安全に過ごせる環境をめざし対策をすすめてみてくださいね。

【今回の執筆者】
作業療法士 大島真琴(おおしま まこと)

先日実家に帰った際に、実家内の段差を見て回りましたが、母は「慣れてるから大丈夫」と改善する気はなさそうでした。

【備えあれば憂いなし】
準備をしっかりとしていればいざという時結果がどうかと心配する必要がない。

【備えあれば患いなし】
普段から危ない所を知ると、そこを何とかしようと思うから備えるので何かあっても大丈夫。

母にこの言葉を送ります。
寒風の中盛り付けしてプレゼントしてきた多肉植物と共に。

 

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