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リハビリテーション通信

立ち上がりやすいポイント|リハビリテーション通信

こんにちは。

みなさんは、立ち上がりに不安を感じることはありますか?
また、ご家族の介助の際に、スムーズに立ち上がってもらえず悩んだ経験はありませんか?

日々業務をしていると、患者様より「なんぼにも上手く立てれん。」とお聞きしたり、介助するご家族から、「上手く立ちってもらえんで、立たすんに一苦労。」と、悩みを聞いたり相談を受けることがあります。
移動する前、トイレでのズボンの上げ下げ、お風呂でお尻を洗うときなど、日常生活において立ち上がる場面は多いです。

今回は、「立ち上がりやすいポイント」を動作の順にお伝えします。

① 安定した坐位をとる

まず立ち上がる前の姿勢として、安定して坐ることが大切です。ポイントとして、可能な限り股関節・膝関節は直角で、しっかり足底面を床について坐ります。

② やや浅く坐り両足部を引く

①で、まずは安定して坐っていただいていますが、立ち上がる前のポイントとして、少し臀部を前へずらし、やや浅く坐ります。また両足底をご自身の方へ引くことで、更に膝を曲げます。この際、両足部の位置が変わりましたが、しっかり足底面が床についているかが大切なので、確認してみて下さい。

③ おじぎをし、臀部から両足部へ重心を移動させる

両足の力で立ち上がるためには、接地面である両足部に患者様の重心を収める準備が必要になります。しかしながら、円背など身体構造の変化や筋力など身体機能の低下による影響のみならず、『立ち上がる』とは真っすぐに立った姿勢に変わることから、真上に身体を上げる動作のイメージを持たれる方も多く、重心移動の不十分さから立ち上がりに悩まれる方が多いように感じています。

坐った姿勢は、両足底よりも臀部よりに重心が収まっているため、ポイントとして、上半身を前傾することで、臀部から両側部へ重心を移動させます。「立つのに?」と思われるかもしれませんが、立ち上がる前の準備として、一度おじぎをするようにして重心を前方へ移動させることが大切です。

また、ご家族を介助される方の中には、万が一の事があってはならないとの想いから、「しっかりお尻を持ち上げないと。」と真上に身体を引き上げるような介助を行ってしまっている方も多いように感じています。ポイントとして、重心の移動を促すために「おじぎをして下さい。」との声掛けが、患者様にも理解してもらいやすいと感じています。

④ 上半身を起こしつつバランスを取りながら両足の力で立つ

両足部へ重心を移動させたら、上半身を起こしつつバランスを取りながら両足の力を利用して立ち上がります。坐った姿勢よりも支持基底面が狭くなるため、不安定な動作です。ポイントとしては、膝折れや後方への突っ張り等、特に立ち上がり直後はバランスを崩しやすいため、立位姿勢が安定するまでは転倒に注意することが大切です。

また、ご家族を介助される方は、ポイントとして、ご家族の踏ん張る足の動きや動きやすいスピードに合わせた介助を行うことが大切です。疾病や加齢に伴う身体機能の変化から、動きやすい動作やスピードに変化が生じていることが多いです。介助する方の動きやすさを優先するとご家族の動きやすい動作とは異なってしまい、かえってお互いに動きにくくなることもあるため、残存能力が発揮しやすい介助がお互い楽に動けると感じています。

⑤環境調整

立ち上がりやすいポイントを押さえても、立ち上がりにくさでお困りであれば、環境を整えることも有効です。
1つ目は手摺りの利用です。前方や側方に位置する横手摺りの利用は、③での重心の移動をしやすくしたり、縦手摺りの利用は、④での両足の踏ん張りを手の引き上げで補ったり、立ち上がり直後の立位姿勢の安定性を高めるのに有効です。

2つ目は座面クッションの利用です。座面クッションを利用して座面を高くすることで、③での重心の移動距離が短くなり、④では両足の力に不安がある方も立ち上がりやすくなるため、有効です。

 

いかがでしたか?

今回、立ち上がりやすいポイントを動作の順にお伝えしましたが、ポイントはもちろんのこと、私が一番大切だと感じていることは、「患者様の残存能力が発揮しやすい介助や環境を整えることが、お互い楽に動ける」ということです。

冒頭でもお伝えした通り、日常生活において立ち上がる場面は多いです。その1回1回において、患者様の残存能力をより発揮できるような介助ができれば、日常生活の中で残存能力を発揮できる機会が増え、身体機能・動作能力の維持・改善や介助量の軽減に繋がっていければ幸いです。

リハ通信執筆者:作業療法士 坪内 美幸(つぼうち みゆき)
学生の頃に実習やボランティアでお世話になり、その頃の先輩に声をかけていただいたきっかけで江藤病院へ入職しました。皆さんと同じで、私にとっても「江藤さん」はとても想い入れのある病院です。江藤さんを大切に想っていただいている皆さんに対し、少しでも役立つことができれば嬉しいです。

 

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