今回のテーマは「楽に歩けるコツについて」です。
身体に負担のない歩きは下半身の使い方が鍵ですが、さらにスムーズに歩くためには、腕の状態に目を向けてみましょう。
歩行時の腕のふりをみると、肩とその周辺がまったく動かずガチガチという方が目につきます。
みなさんは腕のつけ根(動きの起点)はどこだと思いますか?
多くの方は肩関節をイメージしたのではないでしょうか。
でも実際に動かしてみると、鎖骨も腕の動きに伴って動きませんか?
実は、腕の付け根は胸の中央の骨(胸骨)にあります。正しくいうと胸骨と鎖骨とをつなぐ関節(胸鎖関節:図1)です。
図1:腕の付け根はここ!
肩甲骨周りの骨で胴体とつながっているのは鎖骨だけです。肩関節は肩甲骨と一緒に動くのです。腕は胸鎖関節から動き、肩甲帯は肋骨の上をすべるように動く。こうイメージするだけで力まず腕振りができるようになると思います。
そしてもうひとつ知っておいていただきたいのが、肩の状態の整え方です。肩が最も動きやすい位置、肩のニュートラルポジションを保つことです。それを確認する方向が、図2の動きです。
図2:
① 楽に立って両手のひらを前に向け両手を上げます。
② 真横に両手を広げて下げます。
③ 両手を体側につける。このときの肩の位置がニュートラルポジションです。
1日何回かニュートラルポジションを確認してから動くといいですね!
これらの項目を意識することで、身体に負担をかけずに、歩くスピードが速くなったり、歩くことができる距離が伸びて、楽に歩くことに繋がります。
ぜひ普段の生活の中で実践してみてくださいね。
<今回の執筆者> 理学療法士 小林 美沙希(こばやし みさき)
江藤病院に入職して10年目になります。
医療療養病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、外来リハビリテーションを経験し、現在は医療療養病棟に所属しています。介護予防事業の一貫である「いきいき100歳体操」に参加し、地域の皆様と共に健康づくりにも励んでおります。