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糖尿病と認知症|リハビリテーション通信

みなさんこんにちは。
今回は糖尿病と認知症についてお話しします。

糖尿病で認知症になる?とお思いになる方も多いと思います。
全国には約950万人の糖尿病患者さんがいて、約462万人の認知症患者さんがいると言われています。実は、この2つの病気の間に「危険な関係」があることがわかってきました(※第59回日本糖尿病学会年次学術集会)。
高齢者の糖尿病患者では認知症の合併が多いことが明らかになっています。そして糖尿病のある人はそうでない人に比べ、アルツハイマー病や血管性認知症の発症リスクが2~4倍に上昇すると言われています(※九州大学・久山町研究)。

ここで、糖尿病の人がアルツハイマー病を発症しやすい理由を説明します。
まずは糖尿病とはどのようなものか。簡単に説明しましょう。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンがはたらき、血糖値を調整しています。糖尿病は。このインスリンが出にくくなったり、はたらきが悪くなることで血糖値の調整が難しくなる病気のことを言います。糖尿病とは、高血糖が持続し、神経、網膜、腎臓の細小血管の障害(三大合併症)が始まる可能性が高い状態となります。

次にアルツハイマー病です。
アルツハイマー病は脳の神経細胞が死んでいく病気と言われています。アルツハイマー病の患者の脳には「老人斑」というシミのようなものがたくさんあり、この老人斑には「アミロイドβ」という物質がたまっており、このアミロイドβが増えることで脳の神経細胞が障害を受け、最終的に死んでいくと考えられています。

また、最近の研究でアルツハイマー病にはインスリンが関わっていることがわかってきました。脳の神経細胞のエネルギー源のほとんどは糖で、脂肪などは使われません。そのため、脳神経細胞は常に糖を取り込まなければならないですが、その時に必要な働きをするのがインスリンなのです。頭をよく使うことをすると甘いものが欲しくなりますよね。
試験の時にチョコレートとか・・・

頭の中でこの糖の取り込みは神経細胞を支えている「グリア細胞」が行っています。このグリア細胞が血液中の糖を取り込んで、その糖を神経細胞に渡し、神経細胞は受け取った糖をエネルギーに変換することで機能を果たしているのです。

アルツハイマー病のある人の脳では、このグリア細胞へ働きかけるインスリンが不足してしまい、グリア細胞は血液中の糖を取り込めなくなってしまうことがわかってきました。また、糖尿病でインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性も認知症の進行に影響していると考えられています。

糖尿病は脳の動脈硬化を促進し、脳梗塞の発症リスクが高くなり、血管性認知症にもなりやすくなります。また、食後の高血糖が高くなる「食後高血糖」が続くと酸化ストレスや炎症、糖を燃やした時にできる有害物である「終末糖化産物」などが、脳の神経細胞にダメージを与えることも分かってきました。血糖値が高くなっていると、脳内でインスリンの働きが悪くなるとともに、アミロイドβが増えやすくなります。先ほど前述した脳の中にシミが増えてくる・・・というサイクルを生み出してしまうのです。

では、これら糖尿病と認知症を防ぐ手立てはないのでしょうか?
ひとつ言われているのが、糖尿病はメンタルヘルスに大きな影響を与えます。ストレスは血糖値を上昇させ、インスリン抵抗性を引き起こすホルモンの分泌も増やします。ストレスフリーの生活は中々難しいですが、このストレスとうまく付き合うために生活スタイルを整えることが大切です。バランスのとれた食事、良質の睡眠時間、運動習慣を維持することが基礎固めとなります。

皆さんは取れていますでしょうか?
身体を動かすことでストレスは軽減してきます。良質の睡眠をとることは中々難しいですが、寝る前にスマートフォンを見ている方は枕元から離すのもいいのかもしれませんね。

難しい話を聞いてちょっとストレスがたまった方もいらっしゃるかと思います。
では最後に頭と身体を使った体操でしめくくりましょう。

~足踏み体操~
① まずは手を振りながら足踏みです。
② 次は数を30まで数えながら足踏みを行い、3の倍数で手をたたきましょう。

 出来ましたか?次は難しくなりますよ。

~足踏み体操~
③ 次は3と5の倍数で手をたたきながら足踏みを30まで数えましょう。

どうですか?難しかったですか?
頭と身体を使ってリフレッシュしてみてくださいね。

【執筆者】
認定理学療法士(代謝)、日本糖尿病療養指導士 湯浅雅史

江藤病院内の糖尿病ケアチームで、毎年、イベントとして糖尿病教室を開いています。今年もいろいろと企画をしています。イベント開催が決まれば院内などで広報をいたします。興味があるかたはぜひ参加してみてくださいね。

 

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