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リハビリテーション通信

言葉を支える表情筋

はじめに

言語聴覚士(ST)が関わる主な障害として、失語症と構音障害が挙げられます。失語症は脳の障害により「言葉の理解や表現」が難しくなる状態、構音障害は舌や唇などの運動機能の低下により「発音が不明瞭になる」状態です。言葉での意思疎通が困難な状況において、表情は感情を伝える重要な手段となります。

表情筋とは

私たちの顔には、皮膚を直接動かす「表情筋」があります。これらは主に目、口、鼻の周囲に分布しており、笑う・怒る・驚くといった感情表現だけでなく、話す・食べる・飲むといった日常動作にも深く関与しています。言葉に頼らずとも気持ちが伝わるのは、この表情筋の働きによるものです。

表情筋の数は、数え方によって異なりますが、主要なもので約20種類、細かい筋を含めると30種類前後とされています。顔全体で30種類以上の筋肉が複雑に作用し、繊細な表情を生み出しています。

表情筋の発達

表情筋は、生後すぐに発達が始まります。新生児の表情は未熟ですが、生後2〜3か月頃には、他者に向けた笑顔である「社会的微笑」が見られるようになります。これは脳と表情筋の協調性が向上した証拠です。成長とともに表情は豊かになり、学齢期には大人とほぼ同様の表情表現が可能になります。

表情筋の動きが悪くなる要因

表情筋も他の筋肉と同様、「使わなければ衰える」性質があります。動きが低下する主な要因は以下の通りです。

1. 神経のトラブル

表情筋は主に顔面神経によって支配されているため、顔面神経麻痺(ベル麻痺など)が起こると、顔の片側の筋肉が動かなくなります。

2. 加齢

加齢に伴う筋力の低下により、口角が上がりにくくなったり、まぶたが重く感じたりすることがあります。

3. 筋肉自体の低下(廃用・疾患)

廃用(使わないことによる衰え)や特定の病気によって筋力が落ちた場合も、動きは悪くなります。

4. 文化的・生活習慣的な影響

日本や東アジアでは、表情が控えめな文化であるため、表情を豊かに表現する欧米諸国に比べて、表情筋の使用頻度が低い傾向にあると言われています。この日常的な使用量の差が、加齢や筋力低下を助長する可能性があります。

表情筋を鍛えるには

表情筋は鍛えることが可能です。日常生活で使われている表情筋は全体の約30%程度とも言われており、意識的な運動が重要です。口角を上げる、眉を持ち上げる、頬を引き上げる、目をしっかり閉じるなどの簡単な運動をしっかりと行うことで効果が期待できます。

おわりに

表情筋は、言葉を補い、気持ちを伝える大切な役割を担っています。日常の中で表情を意識して使うことは、話す・食べる・飲み込むといった機能の維持にもつながります。心身の健康と、スムーズなコミュニケーションを維持するために、今日から鏡の前で少しだけ意識的に顔を動かし、笑顔を作ってみませんか。

【執筆者】言語聴覚士 榎本 卓也
みなさんは、犬派・猫派 どちらでしょうか。
犬の表情筋は約20種類ほどで、人間ほどの細かな表情変化はできません。しかし、人間と共生する過程で、眉を上げる筋が発達して「困り顔」のような表情を作れるようになったと言われています。
猫はさらに表情筋が少なく、種類は10〜20程度と報告されています。耳、しっぽ、姿勢で気持ちを伝えることが多いため、顔の筋肉に頼らないコミュニケーションスタイルです。

 

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