――体力だけではなく、動作の工夫が鍵🔑
「前より疲れやすくなった」「少し動いただけで休みたくなる」
そんな声を、入院患者様からもよく耳にします。
年齢を重ねると誰にでも起こる変化ですが、その“疲れやすさ”は単に体力だけの問題ではありません。
実は、日常の“動き方のクセ”や“姿勢”が大きく関わっていることをご存じでしょうか。
今回は、療法士の視点から、疲れやすさの原因と、毎日の生活での疲れを少し軽くするコツをお伝えします。
1.「疲れやすい」は体力低下だけでは起こらない
人は年齢とともに筋力が低下し、回復力もゆっくりになります。しかし同時に、
・体を支える筋肉のバランスが崩れる
・関節の動く範囲が狭くなる
・姿勢が変化しやすい
・動作に“無駄な力”が入りやすい
といった変化も起こります。
これらが重なると、同じ動作をしていても若い頃よりずっと多くのエネルギーを使うようになり、結果として「疲れやすい」状態になるわけです。
例えば――
・食器を片付けるだけで肩や腕がパンパンになる
・洗濯物を干す時に腕や背中が痛くなる
・買い物で長く歩けない
これらは単に筋力が弱っただけなのではなく、身体の使い方が今の身体に合っていないことが多いのです。
2. 姿勢の崩れが疲労をつくる
特に大きな影響があるのが「姿勢」です。
・背中が丸くなる
背中が丸まると、肺が広がりにくくなり呼吸が浅くなります。
呼吸が浅いと、少し動いただけで息切れし、疲れやすくなります。
・首が前に出る
頭の重さはボウリングの球と同じくらい。首が前に出ると、その重さを支えるために肩・背中が常に緊張します。
「肩こりがひどくて家事が長くできない」という方は、このタイプが多いです。
・膝が伸び切らない
膝が曲がったまま歩くと太ももに負担が集中し、歩くたびに疲れが溜まります。
姿勢の崩れは痛みだけでなく、身体の“効率の悪さ”を生み、疲労の原因になります。
3.「無駄な力」がエネルギーを奪っていく
患者さんを観察していると、動く前から肩に力が入っている、手を握りしめている、踏ん張りすぎているという方がとても多く見られます。
本来必要のない筋肉を使い続けると、呼吸も浅くなり、疲れやすさが増してしまいます。
リハビリテーションの現場では、「頑張りすぎている筋肉」=過緊張
を取り除き、本来使うべき筋肉を引き出すお手伝いをします。
4.今日からできる“疲れにくい身体づくり”のコツ
① 2秒の深呼吸で、肩の力を抜く
動き出す前に、息をふーっと吐いて、肩をストンと下げる。
それだけで体の力みが減り、動作が軽くなります。
② 家事は“低い姿勢”で頑張らない
・掃除は柄の長い道具を使う
・食後の洗い物の際、流し台に近づいて肘を軽くつく
などの工夫で、“肩や腰の無駄な力”が減ります。
③ 疲れない歩き方のポイントは「歩幅を少し広げる」
歩く距離をむやみに増やすより、歩幅を5cm広げるほうが疲れにくい体に近づきます。
歩幅が広がると、自然と姿勢も整いやすくなります。
④ 休むタイミングを早くする
「まだ大丈夫」と思って動き続けると、一気に疲労します。
疲れのピークが来る前に、こまめに座る・深呼吸することを意識してみましょう
⑤ 回り道せず“効率よく動く”習慣をつくる
疲れやすい方ほど、無意識に余分な動きをしていることがあります。
リハビリテーションでは、効率の良い身体の使い方を指導・練習することで余分な動きが減り、力が抜けることで日常生活が楽になります。
5.「疲れやすさ」は改善できる
疲れるのは年齢のせいだから仕方ない……
そう思われがちですが、実際には動き方・姿勢・力の入り具合を少し見直すだけで、疲れにくさは大きく変えられます。
リハビリテーションの現場で、
「階段が楽になった」「腕があがるようになった」
「家事が続けられるようになった」
「買い物が苦にならなくなった」
という声を多くいただくのは、筋力そのものより“身体の使い方”が良くなったことも大きく影響しています。
6.おわりに
疲れやすさは、年齢だけではなく身体からの“サイン”です。
無理なく動ける方法を知ることで、毎日の生活はもっと快適になります。
今回の執筆者:作業療法士 松本 綾華
現在4人の子育てをしながら、回復期リハビリテーション病棟に勤務しています。仕事と育児の毎日は慌ただしく、気がつくと作業療法士になって13年目となっていました。顔なじみの患者様も多くよくお声をかけていただき嬉しく思います。皆さんが元気で生活できるようにこれからも努めていきたいと思います。
【松本 綾華作業療法士の執筆記事】
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