はじめに
ホームワークアウトとは、特別な器具がなくても自宅でできるエクササイズのことをいいます。気温や天候などにより継続した運動習慣を持つことは難しいですが、体力や筋力を保つためにとても大切です。今回は、高齢者の方でも安心してできる簡単で優しい運動を紹介します。
【1】 運動の大切さ
(1) 身体の健康維持
■ 心臓病や糖尿病の予防:定期的な運動は、心臓の健康を保ち、血糖値をコントロールするのに役立ちます。
■ 体重管理:運動によってカロリーを消費し、脂肪を燃焼させることができます。これにより、肥満を防ぎやすくなります。
■ 筋力と骨の強化:筋肉や骨を強く保つために、運動(特にウェイトトレーニングやウォーキング)は欠かせません。
(2) 精神的な健康
■ ストレス解消:運動中に分泌されるエンドルフィン(幸せホルモン)は、気分を高め、ストレスを軽減します。
■ うつ症状の改善:定期的な運動は、うつ病の症状を軽減することが多くの研究で証明されています。
■ 睡眠の質の向上:運動は眠りを深くし、眠りにくい夜を減らすことができます。
(3) 社会的なつながり
■ グループで運動すると、他の人とコミュニケーションを取ることができ、社会的なつながりや友情を築くことができます。
(4) 生活の質の向上
■ 身体が元気であれば、日常生活がもっと楽にこなせます。例えば、階段を上るのが楽になったり、体力的に疲れにくくなったりすることが実感できます。
【2】道具なしでできる簡単な運動
(1) 椅子に座って足を上げる運動
椅子に座ったまま、片足ずつ上げて、足を軽く引き上げる運動です。これで脚の筋力を少しずつ強化できます。
1. 椅子に座り、背筋を伸ばします。
2. 片足をまっすぐ前に伸ばし、5秒間キープ。
3. 足をゆっくり下ろし、反対の足も同じようにします。
回数:片足10回ずつ ✖ 1日2~3セット
(2) 椅子の立ち座り運動
椅子に座った状態から立ち上がる動作を繰り返す運動です。これで足の筋力とバランス感覚を鍛えます。
1. 椅子にしっかり座り、足を肩幅に開いて、背筋を伸ばします。
2. ゆっくりと立ち上がり、再び座ります。
3. 立ち上がる際に、両手を使わずに足の力で立ち上がりましょう。
回数:10回 ✖ 1日2~3セット
(3) かかと上げ運動
立った状態でかかとを上げることで、ふくらはぎや脚の筋肉を鍛えることができます。これも簡単で、椅子を使って支えながらできるので安心です。
1. まっすぐ立ち、椅子やテーブルに手を軽く添えて支えます。
2. かかとをゆっくり上げ、10秒間キープ。
3. ゆっくりかかとを下ろします。
回数:10回 ✖ 1日2~3セット
(4) 肩まわし運動
肩を回すことで、肩こりを予防したり、肩の柔軟性を保つことができます。立ったままでも座ったままでもできる運動です。
1. 両手を肩に置き、肘を外側に向けます。
2. 肘を大きく円を描くように回します。
3. 10回回したら、反対方向にも回します。
回数:10回 ✖ 1日2セット
【3】ゆっくりしたペースで進める
運動を始めるときは、無理をせず、ゆっくりとしたペースで行うことが大切です。運動をする時間は、最初は1日10〜15分くらいから始め、少しずつ時間を増やしていきます。痛みや疲れを感じた場合は、無理せず休んでください。
【4】運動を毎日の習慣に
毎日少しずつ運動することが大切です。最初は短時間でも大丈夫ですので、毎日決まった時間に運動をすることを心がけると、続けやすくなります。
【5】安全に気をつける
自宅で運動する際は、安全を確保することが大切です。滑りやすい床や障害物がないかを確認しましょう。椅子を使う場合は、椅子がしっかり安定しているかも確認してください。また、運動中に気分が悪くなったり、痛みを感じた場合は、すぐに運動を中止してください。
おわりに
自宅でできる運動は、特別な道具がなくても体を健康に保つための重要な手助けになります。簡単な運動から始めて、少しずつ体を動かす習慣をつけていきましょう。体調に合わせて運動を行い、無理なく続けることが大切です。

【執筆者】理学療法士 鈴木 雄大
東京都で生まれ育ち、徳島に来て16年ほど経ちました。
方言や釣り、園芸を覚えつつ結婚し、2児の育児に奮闘しています。
体のリハビリだけでなく心に寄り添いケアできる理学療法士を目指しています。
【鈴木雄大理学療法士の執筆記事】
外来リハビリテーションについて|理学療法士 鈴木 雄大
運動を生活習慣に|理学療法士 鈴木雄大
糖尿病には運動!|理学療法士 鈴木 雄大
過去のリハビリテーション通信はこちらから
■ リハビリテーション通信 バックナンバー

