肩こりについて
はじめに
こんにちは。みなさんは普段から気がつくと肩が重だるく、「肩がこったなぁ」と感じた経験はありませんか?自分では気づかないうちに姿勢が悪くなっていたり、同じ姿勢で作業を長時間したりしていませんか?原因は人によって様々ですが、今回は肩こりの原因と対処法をお伝えしたいと思います。
肩こりの典型的な原因
普段は意識していないかもしれませんが、頭の重さは5~6kgもあります。
そんな重い頭を支えているのが、首と肩です。日本人は、頭が大きいわりに首から肩の骨格や筋肉がきゃしゃにできているため、肩こりを起こしやすいといわれています。とくに中年以降は骨や筋肉が弱くなるので注意が必要です。たかが肩こりと思っていると、こりが痛みに変わり、何をするにもつらいといった状態になりかねません。
また一言で肩こりといっても、その原因は数十種類もあり、人によってさまざまです。そのなかで特に多いのが「同じ姿勢」「眼精疲労」「運動不足」「ストレス」で、肩こりの4大原因とされています。また最近では、肩こりと血圧の関連も注目されています。
パソコンやスマートフォン作業に要注意
肩こりの4大原因のうち「同じ姿勢」と「眼精疲労」は、主としてデスクワークや読書、細かい手仕事などによって起こります。とくに最近は、パソコンやスマートフォンの長時間使用による肩こりが増えています。
<原因>
同じ作業をしていると両肩を少し前にすぼめる姿勢にもなりがちです。こうした姿勢を続けていると、首から肩の筋肉に緊張性の疲労が生じ、血流が悪くなり、肩こりを起こしやすくなります。また細かい文字などを見続けると、目やその周囲の筋肉が緊張し、それと同時に首や肩も緊張します。とくにパソコンやスマートフォンの場合、まばたきの回数が減ります(通常は毎分15~20回程度。パソコン・スマートフォン作業中は毎分1~2回に激減)。そのためドライアイから眼精疲労を起こし、それも肩こりの原因ともなります。
日常生活に運動を取り入れる
肩こりの4大原因のうち「運動不足」と「ストレス」は、日常の習慣が背景になっています。それだけに生活を見直し、肩こりを起こしにくい習慣をつけることが大切です。
肩こりを起こしているときの首や肩は血流が悪くなっていて、新鮮な酸素や栄養分が伝わりにくく、疲れやすい状態になっています。それを改善するのに有効な方法が、適度な運動です。
肩こりの予防を目的とする場合、筋肉に強い負荷をかけるよりも、筋肉を動かすことに意味があります。ハードなトレーニングよりも、散歩やウォーキングなどの軽めの運動がお勧めです。一方、「ストレス」による肩こりの解消にも、運動は効果的です。身体を動かすと血流が改善されるだけでなく、気分転換にもなるからです。
肩こりチェック
主に肩こりが起こりやすい部分を色分けしてみました。
①首の裏側(青)
②首の付け根から肩にかけて(黄色)
③背中の肩甲骨の内側(オレンジ)
④肩から上腕部にかけて(緑)
①から③のいずれか、または④以外のすべてに当てはまる場合は肩こりが考えられます。④のみ当てはまる場合は五十肩や腱板断裂などの肩関節の障害の可能性があります。
肩こりにならない姿勢
●立つときの姿勢
一般的な肩こりの対策として基本となるのが、姿勢の改善です。
最も肩こりになりやすい姿勢は猫背です。また、姿勢を良くしようとして背中を反ったり、胸だけを張ったりすると、かえって肩こりが起こりやすくなるのでご注意ください。
よい姿勢で立つために意識するポイントは、下記の5つです。
①ひざを伸ばす
②おへその下に力を入れて骨盤を立てる
③軽く肩甲骨を後方に引き、胸を張る
④あごを少し引く
⑤頭頂部が真上から引っ張られている感覚で、背筋を伸ばす
上記のポイントを押さえた姿勢になったら、近くにいる人にチェックしてもらいましょう。チェックするときは、横から見てもらい、耳、肩・骨盤、ひざ、外くるぶしの中心が一直線になっていれば、良い姿勢です。②の骨盤を立てるのが、最も重要なポイントです。
●座るときの姿勢
座るときの姿勢で、猫背であごを突き出したり、背もたれに寄りかかり続けたりすると、肩こりが起こりやすくなります。よい姿勢で座るために意識するポイントは、下記の3つです。
①少し浅めに座り、背もたれにもたれない
②おへその下に力を入れて骨盤を立てる
③背筋を伸ばす
目線が20~30度下に向くように、いすの高さやパソコンの画面の角度を調節しましょう。
いすは、ひざと股関節が同じ高さになるのが目安です。ただし、長時間座り続けて同じ姿勢を保っていると、肩だけでなく首や腰の筋肉に負担がかかり、肩こりの原因となります。
肩こりを防ぐには、よい姿勢で座るだけでなく、なるべく立っている時間を多くすることが大切です。できれば30分~1時間に1回は立ち上がって、伸びをしたり歩いたりしてください。
簡単な肩こり解消のストレッチ
運動不足や長時間同じ姿勢が続くと、周囲の骨や筋肉と癒着したり、浮腫を引き起こしたりして、まるで古くなったミカンの筋のように固まってしまうのです。その結果、体を動かしづらくなり、姿勢の崩れや肩こり、首こりといった様々な不調を招くことになります。
“肩甲骨はがし”とは、固まってしまった肩甲骨周りの筋肉をほぐして、マッサージではほぐすことのできない深部の筋肉、に働きかけることができます。
ストレッチ1
肩関節、肘関節を90°に上げた状態で保ちます。
その状態で肘を後方へ平行に引いていきます。
これをゆっくり5回×3セット行います。
ストレッチ2
両肩に手を起き、肘と肘を前でくっつけます。
肘を外側に大きく回していきます。
反対回りも10回ずつ行いましょう。
ストレッチ3
両手を組んで前にゆっくり伸ばしていきます。
10秒×3セット行いましょう。
ストレッチ4
後ろで手を組んで上がるところまで腕を持ち上げます。
※どのストレッチも痛みのない範囲で行いましょう。
今回の執筆者:作業療法士 松本 綾華(まつもと あやか)
現在女の子3人の子育てをしながら、回復期リハビリテーション病棟に勤務しています。仕事と育児の毎日は慌ただしく、気がつくと作業療法士になって12年目を迎えました。
「もう子供大きくなったで?」と顔なじみの利用者様や患者様からいつも気にかけていただいてとてもありがたいです。そんな皆様に少しでもお返しできたらと思っています。
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