これからも、「地域の皆さんともっとつながりたい!」をテーマに、病院や部門、人をインタビュー形式でご紹介しています。
第2回目は、リハビリテーション部 主任 理学療法士 内田拓也さんです。
ー内田さんが、理学療法士を目指したきっかけを教えてください!
幼少の頃から野球をしていまして、ちょっとしたことで肩を傷めてしまい、医師から野球は続けないほうがいいと言われて落ち込んでいたとき、理学療法士に支えられました。私と同じような経験をした方に同じようなサポートをできたらいいなと思ったことがきっかけです。
ー野球はどちらで?
埼玉県です。
ー徳島とはどのようなご縁ですか??
埼玉は海がない県なので、海が近いところに住みたいというやんわりとした願望がありました。就職先を考えていたとき、大学で江藤病院の求人票を見つけました。他病院の求人票は病床数や機能などのPRが多いなかで、江藤病院だけがちりめんが美味しいとか、和田島のことばかり紹介してて。地域を大事にしている印象を受けたんです。見学に来てみたら思った通り、利用者さんへの接し方が近くて親身。縁もゆかりもないけれど、海も近いし思い切りました。
ー在職何年になりますか。
今年の4月で9年目。新卒採用だったので初任地です。
ー入職後にギャップはありましたか。
1年目に大きな壁にぶつかりました。自分としてはうまくいったと思っていたリハビリテーションで、後日、患者さんから担当を外れてほしいという希望があったと上司から聞かされました。理由は、標準語で話してくるから何を言っているのかさっぱりわからないから、と。
ー言葉の壁ですか?
人としての心構え、姿勢、人となりとでもいうのでしょうか。私自身を見られていたのだと感じました。この人の言うことは信じられる、と思っていただけないと、どんなリハビリテーションも言葉も利用者さんには届かないんです。
言葉の面では、標準語と方言では意味が異なるものがあります。例えば「えらい」は、標準語では「偉い」ですが、阿波弁では「しんどい、つらい」という意味です。このことを知らずにリハビリテーションはできません。相手を理解するため、方言についても先輩に聞いたり、インターネットで調べたりしました。
ー1年目にして大きな気付きを得たんですね。
現在の担当の業務は?
当院のデイケアを中心に担当させていただいています。管理業務などにも携わっており、外来リハビリや病棟リハビリ等、臨機応変に対応しています。
ー江藤病院のリハビリテーションには、どのような方がお越しになりますか?
外来リハビリテーションについては、最近体を動かしにくくなった方、農作業をしていて肩や腰が痛くなった方、スポーツで身体を傷めた方、肩こりがひどい方、脊髄損傷によりロボットリハビリテーションを目的に来院された方など様々です。若い方もいらっしゃいますよ。リハビリテーションでは、例えば肩こりなら、肩ができるだけこらないような生活ができる土台作りをご提供することもできますので、幅広く利用していただくことができます。
ー遠方からもいらっしゃるそうですね?
目的や理由は様々ですが、ロボットスーツHAL®の利用を目的に、遠方からお越しになる方もいらっしゃいます。個々の症状に適した機器をご提供できるよう、当院はロボットリハビリテーションを積極的に導入していますので、ぜひご利用いただきたいです。
ーロボットリハビリテーションを扱える療法士も多く在籍しているのですね。
せっかくお越しいただいたのに、職員が機器を扱えないことで利用いただけなかったり制限されたりすることのないよう、職員自身も最新の機器を体験したり取扱いを学んだりして、適切にご提供できるような体制を整えています。
ー通所リハビリテーションについて教えてください。
介護保険を利用している方が対象です。できるだけ自分自身で動けることにつながるプログラムをご提供しています。例えば集団体操を1日80分、作品作りでは他の利用者さんと共有していただく、洗濯や掃除などのボランティア作業を自主的に手上げしていただきお願いするなどです。
ー巻き込み型のリハビリテーションと言えそうですね?
リハビリテーションで在宅生活の継続を支援するために、利用者さんが自主的に動ける場とそれを促すスタッフの存在をご提供することが必要だと思っています。やってよかったという成功体験をもとに、当院でのリハビリテーションを自宅や地域でも採り入れ定着させていただきたい。在宅生活の支援にとどまらず、通所リハビリテーションが地域の関係性づくり、国が示す地域包括支援としての自助や互助にまで貢献できたらいいなと考えています。
ー訪問リハビリテーションについてはいかがですか。
南部訪問看護ステーションとして、訪問看護の枠組み内で訪問リハビリテーションをご提供しています。事業所内にケアマネジャーや介護士、看護師、リハ療法士が在籍しており、利用者さんの状況を共有して訪問看護サービスのよりよいご提供について検討しています。退院後、外出する習慣のない方のご利用や、難病で外出が困難な方、寝たきりの方も利用されており、利用者さんはもちろんですが、ご家族に対しても負担の少ない介助方法などをお伝えし、患者さんやご家族双方が在宅で長く過ごせるようにリハビリテーションをご提供しています。
ー理念である「優しい病院」実現のためのあゆみですね。
患者さん利用者さんの困っていることをお話いただくには、話しやすい、声をかけていただきやすい環境づくりが大切であると考えております。入職したきっかけにもなりますが、病院の顔である医師をはじめとした職員誰もが、声をかけやすい雰囲気を持てていると思います。
このような環境の中でのチーム医療は、多職種においても患者さん利用者さんのお顔を思い浮かべながら情報共有して治療方針を話し合える関係につながっており、連携しやすいと感じます。
ー内田さんの仕事に対するこだわり、目指すものは。
手を抜かないことです。リハビリテーションにおいては、例えば同じ大腿骨骨折でも年齢も性別も生活環境も患者さん利用者さんごとに異なりますが、理学療法では、疾患に関する訓練の流れが概ね決まっています。実際は、ひとりひとりの背景にあわせて、個々に違った訓練を提供することが必要です。様々な選択肢を調べ尽くし、用意した支援がもしうまくいかなかったらもっと調べる、の繰り返しを大事にしています。その結果、暗い表情だった方が明るく前向きになるのを見ると、やってよかったと思えます。人としての見られ方の部分も手を抜かずにいたいです。
ー濃い8年だったでしょうね。
地域の方に支えられてきた8年間でした。親身になって支えていただき、リハビリテーションでも人としても成長させていただいたと思える8年間。この先も成長しつつ、地域にご恩返しさせていただきたいという気持ちです。本当に感謝しています!