転倒予防に使える棒体操|実践
棒体操は心身機能を改善する介入に該当します。今回紹介する動作は高齢者の転倒予防を目的とし、安全に行うため坐位にて実施しています。
投げ上げた棒をキャッチする動作を用いてバランス能力、身体の柔軟性、俊敏性などを改善し、転倒予防に繋げます。投げたあとにバランスを崩した動作が転倒時に類似していることから転倒の模擬動作とも呼ばれています。
ここでは、ご家庭でも用意しやすい「新聞棒」を使った棒体操をご紹介します。
新聞棒の作り方
朝刊を一部用意し、開く側から筒状に丸めます。折れたりしないよう、できるだけ固く丸めてください。丸め終わったら、新聞紙の中央と両端をテープで止めて目印とします。
縦キャッチ|棒体操
ねらい
瞬時に目印の場所を確認し、判断してつかむための俊敏性が鍛えられ、瞬間的な体重移動を経験します。
新聞棒を縦にして投げて受け取ります。慣れたら反対の手も使ってみましょう。
縦目印キャッチ|棒体操
ねらい
投げる前に、受け取る目印を決めて受け取ります。
棒体操の際にパートナーがいれば、「上!」「下!」「真ん中!」などの指示をしてもらうことでより難易度があがります。
リハビリスタッフからのメッセージ
棒体操は転倒やつまずきの際に起きる「バランスを崩した状態」を学習することで転倒の危険性を減じる効果があると言われています。
また、投げ損ねや取り損ねが生じることも、実施者にとってはおもしろく、飽きずに続けられるという利点があります。使用する道具も新聞紙とテープのみなので、ご自宅でも手軽に行うことができ、当施設でも積極的に取り入れてます。
この機会を期に、ぜひ運動の習慣性を身に付けて、皆さんの健康を維持していただけたらと思います。
参考文献:横井賀津志、高畑真一、内藤泰男、めさきせいこ、『転倒予防のための棒体操―運動機能と認知機能へのアプローチ』、三輪書店