今回のリハビリテーション通信は、外来患者様からのご相談も多い「肩関節周囲炎」についてお伝えします。
肩関節周囲炎とは
中年以降、特に50歳代に多くみられ、いわゆる五十肩や四十肩と言われるものです。関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲組織に炎症が起きることが主な原因として考えられています。また、肩関節の動きをよくする袋(滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります(拘縮または凍結肩)。
症状
主な症状として、以下のものが挙げられます。
①肩関節の疼痛
運動時痛、夜間痛、放散痛(首や腕にかけて)、圧痛 等
②可動域制限
特に外転・内旋・外旋の制限が著明となります。日常生活で制限となる代表的な動作として、髪を結ぶ動作や背中で帯を結ぶ動作、服を着替える際に制限があります。
診断方法
圧痛の部位や動きの状態などをみて診断します。また、肩関節におこる痛みの他の病気には、肩関節の関節包や滑液包(肩峰下滑液包を含む)の炎症のほかに、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂などがあります。
これらは、X線(レントゲン)撮影、関節造影検査、MRI、超音波検査などで区別します。
治療
基本は薬物療法とリハビリテーションですが、難治例に対しては外科治療も行われる時があります。
【痛みが強い急性期】
三角巾やアームスリングを使用し安静にする、消炎鎮痛剤の内服あるいは外用剤(湿布や軟膏)の使用、注射などが有効です。
【疼痛が軽減してきたら】
温熱療法(ホットパック、入浴など)や運動療法(拘縮予防や筋力強化)などのリハビリテーションを行います。
<運動療法の例>詳しくは次回ご紹介します。
夜間に痛みが強い場合
肩の痛みが夜間になると強くなる場合があり、眠れない・途中で痛みで起きてしまうといった睡眠障害を引き起こします。
痛みがでる角度やタイミングには個人差がありますが、痛い方の肩を下にした横向きは痛みが強まりやすいです。また、痛い方の腕や肘が背中側に位置していると痛みが強まりやすいという傾向もあります。
これらの点から、仰向けで寝る際には痛い方の腕~肘にかけてクッションを敷き込むことで、腕や肘が背中側に位置するのを防ぎます。
また、横向きで寝る際には、痛い方の肩を上にし、脇に布団や枕を入れたり、お腹側にクッションを置き、そのクッションを抱きかかえるようにすると痛みが出にくい傾向があります。
リハビリスタッフからのメッセージ
一般的に四十肩や五十肩と言われる肩関節周囲炎についての概論を簡単に説明してきました。肩に痛みがある時や動かしにくいと思ったときは重量物の運搬を避けたり、少し安静にしてみるなどあまり無理をしないようにしてみてください。また、リハビリに来られた際は、スタッフより患者様一人一人にあったセルフケア方法や日常生活の過ごし方のアドバイスをお伝えすることができます。
次週は肩関節周囲炎になった際に自宅でできる簡単なセルフケアを紹介します。