江藤病院リハビリテーション部には、5人の言語聴覚士が在籍しています。江藤病院が現在の大林町に移転した時は私1人でした。
人数が増えたことで入院患者様だけでなく、外来、通所、訪問、介護老人保健施設と様々な形でリハビリを提供できるようになってきました。
それでも言語聴覚士は人数が足りないとの声を聞くことがあります。
また、言語聴覚士がいる病院として江藤病院を希望したとのありがたい声をいただくこともありますが、裏を返せば言語聴覚士のいる病院が限られているということでもあります。
退院後も言語聴覚士のリハビリを受けたいが、近くにいないのでどうしたらよいかと相談を受けたこともあります。
実際、言語聴覚士は不足しているのでしょうか?
特に徳島県には言語聴覚士の養成校がないので少ないような印象があります。
自分なりに計算してみました。
言語聴覚士が国家資格として制定されたのは1997年で、理学療法士や作業療法士と比べて30年以上歴史の浅い資格となります。累計合格者は41,657人と理学療法士の約⅕です。
現在、日本言語聴覚士協会の会員は21,603人、そのうち徳島県の会員は132人なので徳島県にいる言語聴覚士は全体の約0.6%になります。全員が日本言語聴覚士協会に入っているわけではないので、同じ比率で計算すると徳島県には254人の言語聴覚士がいると推定されます。
人口10万人に対して、日本では33.7人、徳島県では35.8人の言語聴覚士がいる計算になります。これだけ見ると徳島県は比較的言語聴覚士の多い地域ということになりますが、75歳以上の後期高齢者人口10万人当たりに限定してみると、日本では219.2人、徳島県では169.3人となります。徳島県は高齢化が進んでいることを考えると不足しているという見方ができます。
さらに、団塊の世代が全員75歳以上になる「2025年問題」を迎える時期には、6万人から8万人以上の言語聴覚士が必要と言われています。
2025年には人口10万人に対して50人以上、後期高齢者人口10万人に対して273人以上の言語聴覚士が必要とされる計算になります。徳島県では現在の1.6倍、150人ほど言語聴覚士の需要があるのかもしれません。
また、最近は教育や発達の分野でのニーズが高まっており、それ以上に必要とされる可能性もあります。
必要な方に必要なリハビリを提供できるために、言語聴覚士がもっと増えてほしいと願います。
リハビリテーション部 言語聴覚士 榎本卓也