今回は運動前に行う「動的ストレッチ」のお話をしたいと思います。
ストレッチは大きく分けて2種類あり、運動前に行うことでケガの予防につながる「動的ストレッチ」と、運動後のクールダウンに向いている「静的ストレッチ」があります。
運動前のストレッチはウォーミングアップに含まれ、動きながら行う「動的ストレッチ」が向いていると言われています。
※ウォーミングアップとは:「運動によるケガの防止や、主運動を行うための身体の準備、その運動に対する能力を最大に発揮できる状態をつくること」を目的に行う、運動前の準備運動のこと。
動的ストレッチの効果
①身体を温め基礎代謝が上がる
身体の中で発生したエネルギーは、筋肉を収縮させるだけでなく、熱エネルギーとしても使われ体温を上昇させます。それにより血管が拡張し、酸素の供給もスムーズに行われるようになります。
②関節可動域を広げる
体温・筋温が上がることで筋や腱が柔らかくなり、関節可動域が広がりやすくなります。
③神経の伝達を促進する
身体を動かすことで中枢神経の興奮を引き起こし、すぐに反応できるように身体を運動の準備状態にします。
④心拍数と呼吸数を徐々に増加させる
軽い運動から始めることで、徐々に心拍数や呼吸数を主運動に近づけることができます。そのため心臓や肺への急激な負担を軽減させることができます。
⑤傷病を予防する
上記(①〜④)の効果によって傷病の予防につながります。
ストレッチの注意点
①呼吸を止めない
呼吸を止めると身体は緊張状態になり、筋肉が硬くなるため、十分に筋肉を緩めることができなくなります。また、呼吸を止めると血圧が上がりやすくなり、身体に負担がかかることがあります。 ストレッチ中は自然な呼吸でリラックスした状態で行ってください。
②反動をつけない
ストレッチは、勢いや反動をつけずに少しずつ筋肉を伸ばしていきます。
③痛みを出さない
ストレッチは気持ちがいい範囲内で行います。無理をすると筋肉を痛める原因になってしまいます。「痛気持ちいい」程度で行うと最も効果が得られやすいです。
④伸ばしている筋を意識する
「今はこの筋肉を伸ばしている」とストレッチしている部位を意識することが大切です。
ストレッチの実践
いくつかストレッチ方法をご紹介します。
①両手を組んで上にあげる
両手を組んで胸の前で伸ばし、そのまま上にあげていきます
②両手を組んで下に伸ばす
両手を組んで、体を前に倒しながら手を下におろしていきます
③体幹側屈体操
・両手を組んでしっかり上に伸ばします
・ゆっくりと横に体ごと倒して体幹側部をストレッチします
・顔が下がらないようにしましょう
④肘まわし体操
両手を両肩に置いて、肘でできるだけ大きな円を描きます
⑤股関節まわし運動
・片方の足を大きく開きましょう
・持ち上げて膝で円を大きく描きましょう
⑥足首まわし運動
その他に、ラジオ体操などもおすすめです。
急激に激しい運動を行うと怪我に繋がります。
つい面倒になりがちな準備運動ですが、ぜひストレッチを習慣化させ、楽しく安全に運動を行いましょう。

【執筆者】作業療法士 林 紗知(はやし さち)
小学3年生と年中の男の子2人の育児に奮闘しています。毎日毎日怒ってばかりですが、子供と過ごせる今を大事にしています。
患者様の心身に寄り添いケアができる作業療法士になれるよう日々努めてまいります。
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