高次脳機能障害とは
病気や事故などのさまざまな原因で脳の部分的な損傷により、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの機能に障害が起こった状態をいいます。
高次脳機能障害の特徴
① 外見上は障害が目立たない。
② 本人自身も障害を十分認識できていない事がある。
③ 障害は、診察や入院生活よりも家での生活や社会活動(学校、職場、買い物、交通機関の利用時など)の場面で出現しやすいです。
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害は、半側空間無視・半側身体失認・地誌的障害・失認症・失語症・記憶障害・失行症・注意障害・遂行機能障害・行動と感情の障害などがあります。
原因疾患
・脳血管障害や頭部外傷、脳腫瘍、脳炎、低酸素脳症などでみられます。
・男女差は特にありません。
・特に高齢者に多くみられます。
日常生活で高次脳機能障害を疑うとき
1.失語症
【概念】聴く、話す、読むといった言語機能の障害が脳の病変の為に起こった状態。
日常生活での主な症状:滑らかにしゃべれない、なかなか名前や物の名前が出てこない、何を言おうとしているのか相手にわからない、相手の話を理解できない、文字が読めない、文字が書けないなどがあります。
2.注意障害
【概念】特定の対象や課題に注意を集中し続ける事ができない状態。
日常生活での主な症状:仕事や作業中にミスが多い、気が散りやすい、1つの事を始めると他の事に気が回らない、いくつかの事を同時に行う事ができないなどあります。
3.記憶障害
【概念】主に、新しい情報が学習できない状態と想起が困難で、以前に蓄えられた情報を思い出せない状態。
※認知症でも記憶障害がみられますが、認知症は症状が進行性で知能検査を行うと記憶以外の機能にも異常を認めます。
日常生活での主な症状:物の置き場所を忘れる、外出し家に帰れない、新しく行った事を覚えられない、何度も同じ話・質問を繰り返す、作話をするなどの症状があります。
4.行動と感情の障害
【概念】脳の損傷によって、行動や感情・情動の障害。
日常生活での主な症状:突然興奮したり・怒り出す、他人を攻撃する、気持ちが動揺する、不安になる、他人とうまく交流できないなどがあります。
5.半側空間無視と半側身体失認
【概念】半側空間無視は半側の刺激に気がつかない、あるいは反応しない状態で、通常は左半側空間無視として認められています。
半側身体失認は、自己の半側に対する認知の障害であり、通常は左側の身体失認を呈し、左半側の麻痺を否定したり(病態失認)、麻痺がないのに左側の手足を使おうとしない状態。
日常生活での主な症状:片側を見落としやすい、物にぶつかりやすい、字や絵を書く時に片側に偏る、麻痺した半側の手足がないように振る舞うなどがあります。
6.失行症
【概念】運動麻痺・運動失調・不随意運動などがなく、どのような行為を行うべきか認識しているにもかかわらず、要求された行為を正しく行う事ができない状態。
日常生活での主な症状:道具が上手く使えない、道具の誤った使い方をする、動作がぎこちなく上手くできないなどがあります。
7.地誌的障害
【概念】地理や場所に関する認知の障害。
日常生活での主な症状:熟知している場所で道に迷う、熟知している場所の地図や見取り図が書けない、熟知している場所の風景や建物を見てもどこかわからないなどがあります。
8.失認症
【概念】ある感覚(視・聴・触覚など)を介して対象物を認知する事ができない障害で、意識・感覚・知能・記憶の障害や失語などでは説明できない病態。
視覚失認、聴覚失認、触覚性失認、身体失認などがあります。
日常生活での主な症状:物の色がわからない、物の形がわからない、字の形や絵がわからない、人の顔がわからない、物の音が何の音かわからないなどがあります。
これまでに自身が経験した中でも、高次脳機能障害の患者様のリハビリテーションは非常に難しいです。患者様の仕草・日常生活で支障が起こっていること・多職種の情報共有が非常に重要になってきます。
障害像をしっかり理解し、患者様のより良い生活が過ごせるように行っていきましょう。
執筆者:作業療法士 髙坂 武志(こうさか たけし)
徳島市在住。作業療法士となり16年経ちました。様々な領域/疾患の患者様に応対できるように日々精進します。
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