以前、運動前のストレッチの重要性についてお話させていただきましたが、今回は運動後のストレッチの役割についてお話させていただきます。
クールダウンの目的と静的ストレッチの役割
運動後すみやかに体をケアする「クールダウン」の一環として取り入れるストレッチが、「静的ストレッチ」です。運動後は心拍数が上がり、筋肉は収縮しやすく、血流もまだ活発な状態です。「静的ストレッチ」は筋肉を一定時間ゆっくり伸ばして保持する方法で、以下の効果が期待できます。
・筋緊張の抑制
筋肉を一定時間伸ばすと、筋紡錘(筋肉が急に伸ばされるのを感知するセンサー)の興奮を抑え、逆に腱器官が働くことで筋肉の張りが和らぎます。
・血流改善と代謝促進
運動後は乳酸など代謝産物が溜まりやすく、筋肉痛や張りの原因になります。ストレッチで筋を伸ばすと血流が促され、老廃物の排出がスムーズになります。リハビリテーションの現場でも「循環改善」として大切にされる視点です。
・可動域の維持・改善
筋肉が温まっている状態は伸長性が高く、可動域を広げやすいタイミングです。
・自律神経の調整
ゆっくり呼吸をしながら行うことで副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が穏やかに。
運動から日常モードへと心身をスムーズに切り替えられます。
静的ストレッチの正しいタイミングと注意点
・実施タイミング
運動後30分以内が効果的。筋肉が温まっているうちに行うのが理想的です。
・姿勢と呼吸
呼吸を止めずに自然に続けながら、リラックスできる安定した姿勢で行うこと。
反動を使わず筋肉をゆっくりと伸ばすのがポイントです。
・伸ばしすぎ注意
「痛い」と感じる一歩手前の「気持ちよく伸ばせる」範囲で止めます。無理は禁物です。
・禁忌例
肉離れ・捻挫などの急性期外傷や炎症反応がある部位への強いストレッチは避けましょう。
ストレッチを快適に続けるために
・毎日の習慣化が大切
ストレッチは一回で劇的に変わるのではなく、繰り返しで柔軟性や疲労回復力が蓄積されます。毎日の習慣にしましょう。
・高齢者や持病がある方は‘‘体調チェック’‘を
血圧変動が大きい方は無理に長く行うことはせず、呼吸を意識して短めから。
関節症や脊椎疾患がある方は、可動域の制限を守って行いましょう。
・ストレッチ=筋肉だけでなく「神経・血管・関節」もケア
リハビリテーション的には筋肉を伸ばすだけでなく、神経滑走や血流改善、関節包の柔軟性にも影響します。多角的な効果があることを意識するとモチベーションも上がります。
・精神的メリット
運動後のリズムを整えることで、気持ちの切り替えにも繋がります。
まとめ
・目的:運動後の疲労ケア・筋肉の柔軟性回復と、心身のリラックス
・方法:運動直後の温まっている状態で、呼吸を止めずゆっくり筋肉を伸ばす
・注意点:「痛気持ちいい」程度の強さで、反動や強い引きは避ける
・頻度:できれば全身を少しずつ、毎日の運動後に習慣化が理想的
運動後のクールダウンを習慣化し、疲労感を残さないよう運動を続けていきましょう。

【執筆者】作業療法士 林 紗知(はやし さち)
小学3年生と年中の男の子2人の育児に奮闘しています。毎日毎日怒ってばかりですが、子供と過ごせる今を大事にしています。
患者様の心身に寄り添いケアができる作業療法士になれるよう日々努めてまいります。
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