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点滴の話|日下至弘 副院長 

 年配の方であれば、昔は病院の外来で黄色やピンク色の注射や点滴をよくしていたのに、最近はしてくれなくなった、風邪でしんどいから注射して、点滴して、と希望すればすぐにしてくれていたのに最近は必要ないといわれるようになった、なんて経験をお持ちの方がいるのではないでしょうか。

 黄色やピンク色はビタミン剤の色です。平成24年の診療報酬改定(病院の保険診療の範囲を決める制度、2年毎にあります)で、すべてのビタミン剤に対して、単なる栄養補助目的での投与が医療保険の対象外になりました。元々、風邪や疲労に対するビタミン剤の効果は医学的根拠がなく、根拠のない治療は公的な保険診療では認めない事になったのだと思います。その結果、全国で色付きの点滴が外来から一掃されるということになったのです。

 もちろん、ビタミン欠乏により起こる疾患に対しては保険診療が認められており、悪性貧血(ビタミンB12欠乏による起こる)、ウェルニッケ脳症(ビタミンB1欠乏による)等の相当する疾患がある場合や、医師が食事摂取の状況から明らかにビタミンが不足していると判断する場合にはビタミンが入った点滴を行うことができます。このようなケースは少ないため、外来で点滴を行う機会は本当に少なくなりました。

 最近外来で行う点滴治療は、熱中症や感染性胃腸炎にともなう脱水に対する補液治療がほとんどで、ほかには鎮痛のための薬剤を投与する手段として用いる程度となっています。もちろん、ビタミン剤は入っていません。

 インターネットで、ビタミン、点滴という単語で検索してみると、たくさんのクリニックでビタミンの点滴治療を宣伝していますが、どこも自由診療で行っているようです。すなわち、保険が効かない10割負担の治療です。

 以上のような経過で、昔のように色付きの点滴を外来で行うことは正当な理由がなければできなくなりました。患者さんには、希望すれば点滴をしてもらえるという時代ではなくなっていることをご理解いただければと思います。

江藤病院 副院長 日下至弘

 

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