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マンスリーコラム

認知症患者さんへの看護|大和 孝子副院長

認知症(見当識障害を持つ)患者さんへの看護
~「今」を伝える看護~

 認知症患者は2012年度、65歳以上の高齢者の7人に1人でしたが、2025年には高齢者の5人に1人(700万人)、2040年には4~5人に1人(800万人以上)と言われています。このうちのかなりの人が見当識障害を経験していきます。しかし、現在も認知症を根治する治療は定まっておらず、看護は症状に応じた対照的なケアが主となります。
見当識障害は認知症の中核症状の一つで、脳細胞が壊れることによって起こる記憶障害や理解力・判断力の低下とともに、①時間(今、いつか)、②場所(ここはどこか)が認識できなくなります。そして、進行すれば③人の認識が難しくなるのが特徴です。
この①と②2つの症状は、進行すると時間間隔では朝、昼、晩の区別がつかなくなり「昼夜逆転」がおきます。場所感覚では、自宅にいるのに自宅に帰りたいと言い張ったり、トイレの場所がわからなくなるなどの症状が出てきます。見当識障害は、認知症でも初期の症状ですが、患者さん自身も思い通りにならない心と身体に不安や焦り、苦痛を覚えます。患者さんの何気ない行動やしぐさから判断するしかありませんが、見当識障害は数値で測るものでなく、対照的な看護しかありません。認知症の方は、「今」自分がどこにいるのか、「今」の季節はいつか、「今」の時間は何時かといった現実認識が乏しくなっていきます。そこで、患者さんに声かけするにあたっては、「決して怒ったり責めたりしない」「決して本人を否定しない」ことが重要だと言われています。

 当院には認知症看護認定看護師が在籍しています。見当識障害を持つ患者へのケアについては、
①自己紹介や説明を行う
②今から何をするのかを伝え不安を軽減させる
③メモや張り紙を使用し、いつでも認識できる工夫をする
④入院理由を書字し、いつでも見て確認できるようにする
⑤病室が確認できるように目印をつける
⑥バイタルなどで訪室した時はさりげなく月日を知らせる
等、職員が意識すべき大切なことを現場でアドバイスしています。現場では複雑な業務やナースコール対応などに追われ、認知症患者との関わり方に苦慮しています。患者さんにとっても、知らない人(受け持ち看護師)に、なれなれしくはなしかけられたり、布団をめくられ血圧などを突然はかられたり、「今」起こっていることが理解できずに混乱し、恐怖や不安を起こしてしまうのも当然です。しかし、私たち職員が患者さんに声かけを行う場面で、「今」起こっていることが理解できるような働きかけを行えば、一日の中でたくさんの「今」を伝えることが出来て、患者さんとのコミュニケーションを少しづつとれるようになるのではないでしょうか?

 患者さんが少しでも落ち着いて行動できるように、日々の看護のちょっとした隙間時間に、何気ない季節や場所の話を取り入れ、現実を感じる手がかりを与えられるように、「今」を伝える看護をしたいと考えています。

 

江藤病院 副院長 大和 孝子

<大和孝子副院長のコラム>

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