はじめに
今年の5月にコロナ感染症が2類→5類に変更となり、みなさんの生活も徐々にコロナ禍前に戻りつつあると思います。閉じこもりぎみだった状態から急に活動的になると「体力がなくなったなぁ」「ちょっと動いたら息が切れるなぁ」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「リハビリテーション」だから、やっぱり運動したりするんでしょ?という印象を持たれるかもしれません。もちろん間違いではありませんが、まずは定義を見ていただきましょう。
呼吸リハビリテーションとは
呼吸リハビリテーションとは、「呼吸器に関連した病気を持つ患者が、可能な限り疾患の進行を予防あるいは健康状態を回復・維持するため、医療者と協働的なパートナーシップのもとに疾患を自身で管理して、自立できるよう生涯にわたり継続して支援していくための個別化された包括的介入である。」とされています。
引用元:3学会合同呼吸リハビリテーションに関するステートメントワーキンググループ2018
つまり、呼吸理学療法や食事療法、薬物療法、酸素療法などは、全て呼吸リハビリテーションということになります。したがって、医師や看護師、理学療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士などのスタッフが緊密に連携をとりながら、患者様の治療をサポートします。そして、治療を効果的に継続していくために患者様自身に自己管理していただくことが、とても重要になってきます。
次に、呼吸理学療法の内容について確認しましょう。
■ 呼吸練習
■ 呼吸筋トレーニング
■ 胸郭可動域訓練
■ 気道クリアランス法
■ 運動療法
呼吸「理学療法」とされていますが、これらの項目は理学療法士だけが実施するものではありません。我々理学療法士が中心となってトレーニングプログラムを提案させていただきますが、多職種の協力と何よりも患者様自身や家族様の役割が最も重要といえるでしょう。
呼吸理学療法の効果
■ 気道内分泌物(痰)の除去
■ 肺合併症(肺癌や肺炎、気管支喘息など)の予防・治療
■ 人工呼吸器からの離脱や早期離床を促進
■ 医療費の軽減
■ 息切れと運動耐容能の改善
■ HRQOL(健康関連の生活の質)の改善
■ 急性増悪や再入院の減少
その他にも呼吸困難感の軽減や下肢疲労感の軽減、自己効力感の向上、全身状態増悪から回復後の生存率を改善することなどにも寄与します。
以上、長々と言葉の意味と有用性を述べさせていただきました。
実際、皆さんに呼吸リハビリテーションの説明をした時に、「呼吸リハビリテーションが必要な状態ってなんなの?」「苦しくなくなるの?」「自分でできる予防を教えて」という質問を受けることがあります。しかし、呼吸不全という状態はそれぞれ原因も様々で、推奨される呼吸方法も一概にお伝えすることができません。検査や身体評価を実施し、それぞれの状態にあったリハビリテーションを提案させていただいています。
皆さんへ画一的にお伝えできる内容としては、
➀ 息切れが生じやすい生活動作を知ること。「食事」「歯磨き」「洗髪」
② パニックコントロール(息切れが生じた際に落ち着いて呼吸を調整し、息切れの状態からスムーズに回復する。安楽な姿勢をとることや、呼吸介助が有効です)を知ること。
③ なによりも外出などの活動機会を増やし、歩くこと。
以上の項目を実践していただきたいと思います。
呼吸リハビリテーションに対してご興味があればお気軽にご相談ください。
今回の執筆者:理学療法士 犬伏 康徳(いぬぶし やすのり)
阿南市在住、二児の父。前回、インソールについて語ってから早くも半年以上が過ぎました。冒頭でもお伝えしましたが、コロナ禍も一旦の落ち着きを見せ、私も次回こそは徳島マラソンに参加したいと考えています。みなさん一緒に頑張りましょう!
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