リハビリテーションって?|インタビュー編
「地域の皆さんともっとつながりたい!」という気持ちからはじまった「リハビリテーション通信」。今回でちょうど20回目となります。
<バックナンバー>
節目の回にあたり、リハビリテーション部スタッフへのロングインタビューをお届けします!登場するのは回復期リハビリテーション病棟を担当している理学療法士のリーダー2名。
副主任 湯浅雅史さん(入職14年目:写真右)と松本将樹さん(入職7年目:写真左)です。
―最初に、ふたりの仕事について教えてください
湯浅 私たちが担当させていただいている回復期リハビリテーション病棟(以降「回リハ病棟」)は、手術など急性期での治療を終えて、病状などが安定し始める回復期の患者さんが入院していらっしゃる病棟です。この回復期に集中的にリハビリテーションを行うことは、低下した日常生活動作や身体機能などを再び獲得するためにとても重要です。患者さんが、元の日常に少しでも近い状態に近づけるよう、医師を中心に、看護部、薬剤部など他の部門と連携しながら、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった各専門リハビリスタッフがリハビリテーションを行っています。
松本 毎朝始業時に、入院中の患者さんの状況、例えば発熱がないかなどの基本的状況を確認して、スタッフによる情報共有のための打合せを開きます。その後、各スタッフは担当している患者さんのところへ行って、リハビリテーションを実施します。私たちは、各スタッフのスケジュールを組んだり、患者さんに対するリハビリテーション計画を確認・修正したり、実施後の報告書をチェックしたりしながら、回リハ病棟のリハビリテーションを管理しています。
―回復期病棟でのリハビリテーションとは
湯浅 当院には、地域包括ケア病棟、医療療養病棟、回復期リハビリテーション病棟があります。現在は、コロナウィルス感染症対策として、病棟ごとにスタッフを分け、各階のスタッフの行き来をできる限りなくし、病棟ごとに、できるだけ各病室でリハビリテーションを行うようにしています。具体的なリハビリテーションとしては、各病棟の広くて長い廊下を活用した歩行練習や、病棟ホールに平行棒を持ち込んで機能訓練を行うこともあります。
松本 リハビリスタッフがリハビリテーションを実施していない時間でも、回リハ病棟の各部屋等で、患者さんには自主練習に取り組んでいただいています。まずは自分のベッド回りのこと、例えば個室ならトイレ、起き上がりや座ることも自分でできるようになる練習などです。こうした自主練習もリハビリテーションになります。
-リハビリテーションの内容はどのように決まる?
湯浅 当院の外来では、患者さんを診察した医師から病名や治療方針等の指示を受けて、リハビリスタッフが患者さんの状態を確認します。例えば、初回の診察後は、どういう痛みがあるのか、どこがどのように動かしづらいのか、元の日常生活にどれだけ支障があるのかなどを患者さんから聞き取り、実際に身体を動かしていただいて、症状のある部位や状態の段階等を測定・評価します。その後、医師を含め多職種でリハビリテーションの計画書を作成して、目標や計画内容を患者さんに説明・共有していただき、医師に報告します。次の来院時から、計画に沿ってリハビリテーションが始まります。
松本 目標は、例えば、退院までにひとりで起きる・立つ・座るといった基本動作ができるようになるなどです。目標達成のために、まずはできるだけ痛みをとっていく手技を実施しましょうとか、ロボットを使った歩行練習をしてみましょう、などの具体策を練り、患者さんに付き添って、リハビリテーションを実施します。1回あたり概ね20分~1時間行います。リハビリスタッフは、目標を達成するまでの、比較的長い期間、長い時間を患者さんとご一緒させていただいています。
-新人とベテランとでリハビリテーションに大きな差をできるだけ生じさせない工夫があるとか
湯浅 新人とベテランに違いがあるとすれば、対応できる引き出しの数だと思います。その点を補助することで、新人とベテランとで大きな差が生じづらくなると考えています。
松本 新人には、新人向けの研修があり、しばらく経験者がついて指導します。専門学校や大学でも現場で実習を済ませていますが、入職後、すぐに患者さんに対して1人でリハビリテーションするということはありません。当院では、研修後も、カンファレンスで計画書の内容や実際のリハビリテーション場面などを確認させてもらって、誰がリハビリテーションをしても同じようなレベルで対応できるような体制をとっています。
-得意なリハビリテーションはありますか
湯浅 リハビリスタッフそれぞれに得意分野・興味のある分野はあると思います。でも、リハビリテーションの際に、得意なリハビリテーション・興味のあるリハビリテーションに偏らないようにすることが大切だと思います。
松本 技術や情報も時代とともに常に変わっていきます。10年前は当たり前だったことが今ではそうではないこともあります。常に新しい技術・情報に触れ、リハビリテーションについて学び続けることが大切だと思います。
-リハビリテーションとは?
松本 一言で表すのは難しいです。例えば、「リハビリしましょう」と患者さんに声をかけると、「リハビリって何するん」って聞かれることがあります。リハビリテーションの「リ=re」は、失った機能を再び取り戻す、「戻る・再び=re」という意味を持っているのですが、回リハ病棟に入院される前と比較して、できなくなったこと、難しくなったことを以前の状態にできるだけ近づけるために機能訓練をするんですよ…Aさんの場合はこういう訓練をしますよ、Bさんにはこうですよ、と、ひとりひとりに合わせて説明しています。
湯浅 その通り!(笑)そういえば、入職3年目の頃、患者さんから「理学療法士の”理”は理屈の”理”ですか」と聞かれたことが印象に残っています。嫌味ではなく、率直な感想であり、素朴な疑問で、「なるほどな」と思いました。病院でのリハビリテーションは、医学的な意味でのリハビリテーションが主になると思いますが、社会復帰することを目的にする場合には社会的な意味も持ちますし、目的によっては人生・生きる意味を取り戻すという意味も持つようになります。一言で言い表せないし、人によって異なるし…、奥が深いんですよ!!
聞けば聞くほど真面目さや誠実さが伝わってくるふたりの話の続きは次回お届けします。ぜひご覧ください!<続きはこちら>