9月1日は防災の日です。
8月8日には南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が気象庁より発表されました。
「いつか来る…」とわかっているけれど、あまり実感が湧かなかった『南海トラフ』が突然身近に感じる機会にもなりました。
皆様の中にも、改めて家族と話し合ったり、災害時の備えを確認したりされた方も多いのではないでしょうか。
「災害の備え」はしていますか?
水や食料、ラジオなどは準備するものとしては一般的です。では、災害の備えとしてお薬の準備はできていますか?突然やってくる有事の際にも、毎日飲んでいる薬は必要不可欠です。特に、血圧や心臓病・糖尿病等、病気によっては命に関わる患者様もいらっしゃいます。東日本大震災の際にも津波が来ている時に自宅に大事な薬を取りに帰った方が犠牲になった。との話もありました。
では、どの様にお薬を備えればいいのでしょうか。
(画像は政府広報公式サイトから引用)
備えが大切
災害が発生した時には、緊急性の高い患者様が優先されます。そのため、毎日飲んでいる薬は3日~1週間分はあるよう準備をしておくと良いと言われています。しかし、『非常用のカバンに入れっぱなし』ではダメなんです。お薬は今の体調に合わせて処方されるものですし、薬自体にも賞味期限(有効期限)があります。常に新しいものと交換するようにしましょう。
薬によっては保存環境に制限があるものもあります。いずれの場合でも、薬は直射日光、高温、多湿を避ける用保管しましょう。また、冷蔵庫保管しなければならないお薬については、すぐに持ち出しできるように保冷バックを準備しておくと良いかもしれません。
また、薬によっては中断により身体への影響が大きいものもあります。ご自身が飲んでいる薬を中断するとどんな影響があるか、把握しておくこともおすすめします。
災害が起こったら
災害直後は、さまざまな理由でいつもの薬が手元に届かない状況となる可能性が高いです。
また、停電などでパソコンからカルテが開けず、患者さんの情報を見ることができないかもしれません。そこで活躍するものが『お薬手帳』です。シールは貰っているが貼っていないと言う方は要注意です。さらにお薬手帳にアレルギー歴など記入しているとスムーズに処方してもらう事ができます。他にも、ご自身が飲まれているお薬の名前を覚えておく、お薬の説明書、処方箋のコピーを持っておく事も良いかもしれません。ただし、災害時はいろいろな所から薬が届くため、いつものメーカー、外観とは限りません。
避難時にお薬がなくなってしまったら、避難所の臨時診療所や被災地の病院でも処方してもらえます。病院や薬局の薬の備蓄もなくなる事もありますが、モバイルファーマシーなど最近は動く薬局もあるため、患者さんに適したお薬をお渡しできます。重症ではないから…といって受診等を控えることはせず、ご相談ください。
災害と薬のお話をしましたが、万が一の際には、慌ててお薬を取りに戻ったりする事はせず、まずは命を守る行動をしてください。
すぐに避難所などに診療体制が整うとは限りません。今から『いざという時』のため、薬の準備を見直してみてください。
今回のコラムが少しでも皆様の備えの参考になれば幸いです。
薬剤部
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