健診項目シリーズの最後になります。
今回は、検血一般と尿一般検査について説明します。
1. 検血一般検査について
全身を流れている血液の細胞成分の計数検査になります。
血液の細胞成分は、赤血球・白血球・血小板があり、それぞれに働きがあります。
健診では、赤血球数と血色素(ヘモグロビン)を測定することになっています。
1⃣ 赤血球:全身に酸素や二酸化炭素を運搬する働きがあります。
数が少ないと貧血となり息切れやめまい、疲れやすいなどの症状が出現します。逆に多すぎると多血症となります。
基準値:男性 400~539×10⁴/μL 女性 360~489×10⁴/µL
異常値:男性 359×10⁴/μL以下 もしくは 600×10⁴/μL以上
女性 329×10⁴/μL以下 もしくは 550×10⁴/μL以上
要経過観察:男性 360~399×10⁴/μL (軽度異常 540~599×10⁴/μL)
女性 330~359×10⁴/μL (軽度異常 490~549×10⁴/μL)
2⃣ 血色素(ヘモグロビン):赤血球中の成分で酸素を体内に運搬します。
貧血の有無と程度が分かります。
基準値:男性 13.1~16.6g/dl 女性 12.1~14.6g/dl
異常値:男性 11.9g/dl以下 もしくは18.0g/dl以上
女性 10.9g/dl以下 もしくは16.0g/dl以上
要経過観察:男性 12.0~13.0g/dl (軽度異常16.7~17.9g/dl)
女性 11.0~12.0g/dl (軽度異常14.7~15.9g/dl)
3⃣ 白血球:体内に入ってきた細菌を殺す働きがあります。体内に炎症があるときや腫瘍があるとき、細胞崩壊などで上昇します。
基準値:3200~8500/µL
4⃣ 血小板:出血を止める止血作用があります。数が少ないと出血傾向を示します。
基準値:13~34.9×10⁴/µL
5⃣ ヘマトクリット:血液中の赤血球の割合を示します。赤血球数とヘモグロビンと合わせて貧血などを調べます。
基準値:男性 38.5~48.9% 女性 35.5~43.9
2. 尿一般検査について
健診では、尿蛋白・尿糖・尿潜血の定性検査を行います。
1⃣ 尿蛋白:尿中に含まれている蛋白質を化学的に調べる検査です。
通常尿蛋白は、ごくわずかしか排出されません。腎臓や尿路に異常があるときや激しい運動後、発熱時などに尿中に蛋白質が漏れ出し陽性になります。
基準値:陰性(-)
2⃣ 尿糖:尿中の糖を化学的に調べる検査です。
正常では、尿中に糖は排泄されません。糖尿病などで尿に糖が排泄されたときに認められ陽性になります。
基準値:陰性(-)
3⃣ 尿潜血:尿中に血液成分である赤血球が含まれていないかを化学的に調べる検査です。通常、尿に血液(赤血球)が漏れ出すことはありません。腎臓や膀胱、尿路で炎症や結石、腫瘍などが認められるときに尿中に血液が混入し尿潜血は陽性になります。
基準値:陰性(-)
3. 最後に
健診(検診)は、職場での企業健診、市町村が行う特定健診、後期高齢者健診、雇い入れ時健診などの他、大腸がん検診、肝炎ウイルス検診、肺がん検診、胃がん検診など種々の健診が行われています。1年に1回は健診を受診して自分の健康管理に役立てて欲しいと考えます。
健診(検診)で疾病が見つかり早期治療につながったケースは数多く報告されています。
早期発見・早期治療に健診を利用しましょう!!
江藤病院 検査室