動物用薬と人間用薬にはいくつかの重要な違いがあり、ペットに人間用薬を使用する際にはリスクが伴います。以下に、これらの違い、リスク、そして動物用薬の特徴と安全な使用方法について詳しく説明します。
人間用薬をペットに使用するリスク
1. 異なる代謝:
動物と人間では薬の代謝が異なるため、同じ薬でも効果や副作用が異なる場合があります。例えば、犬や猫の肝臓や腎臓の機能は人間と異なり、薬の代謝が早すぎたり遅すぎたりすることがあります。
2. 毒性のリスク:
人間には安全な薬でも、動物には毒性がある場合があります。例えば、アセトアミノフェンは猫にとって非常に危険です。
3. 適切な投与量の違い:
体重や体の大きさが違うため、人間用の投与量をそのままペットに適用することはできません。過剰投与や不足投与のリスクがあります。
4. アレルギー反応:
動物は人間と異なるアレルギー反応を示すことがあります。人間用の成分に対するアレルギーが発生する可能性があります。
動物用薬の特徴
1. 種特異的な処方:
動物用薬は特定の動物種に合わせて処方されており、動物の生理学や代謝に基づいて調整されています。
2. 嗜好性の工夫:
動物が飲みやすいように、肉や魚の風味がついていることが多いです。また、嚙みやすい錠剤や液体形式など、動物が摂取しやすい形態になっています。
3. 安全性試験:
動物用薬は、動物に対して安全で効果的であることが確認されています。各種動物に対する毒性試験も行われています。
安全な使用方法
1. 獣医師の指示に従う:
薬の投与については必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。動物の種類、体重、年齢、健康状態に応じた適切な薬と投与量を処方してもらいます。
2. 動物用薬を使用する:
可能な限り動物用に製造された薬を使用します。動物用薬は、その動物種に特化して安全性が確認されています。
3. 薬の保管に注意:
薬を子供やペットの手の届かない場所に保管します。動物が誤って薬を摂取しないように注意が必要です。
4. 副作用に注意:
薬を与えた後は、動物の様子をよく観察し、副作用が現れた場合はすぐに獣医師に相談します。例えば、嘔吐、下痢、食欲不振、異常な行動などが見られる場合は注意が必要です。
5. 人間用薬を使用しない:
人間用薬を動物に与えないことが基本です。どうしても必要な場合は、獣医師の監督のもとで慎重に行います。
これらのポイントを守ることで、ペットの健康を保ち、安全に薬を使用することができます。
江藤病院 薬剤部
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